新生活ばい!

荷造りに丸々2日かかり、業者さんが機械的に流れ作業でトラックへ運んでく。
俺らは、どかした荷物の下に溜まってた埃を黙々と拭いてく。
荷造りの時には度々感傷的になったけど、それらを噛み締めて段ボールに詰めてく。
段ボールに詰め込まれた感傷的な部分は、姫路を離れ長崎へ。
たった3時間程度で思い出ごと長崎へ持ってかれた。
何にも残ってない部屋。
傍から見れば殺風景な部屋でも、フローリングに残った家具の重みや、畳にあったベッドの跡、壁に付いた食器棚の汚れ達が、俺らにまだ温かい頃の部屋を連想させる。
長崎に到着した段ボールの中には想い出がいっぱい詰まっとって、ガムテープを剥がした瞬間から、また兄さんの新しい部屋が生まれる。
また新しい「跡」が部屋に刻まれてく。
ってね。