チンコばい!

日曜になると父さんのパチンコに付いていってた。
もちろんパチンコができる年齢でもなく、ある目的のために金魚の糞みたいにテクテクと。
パチンコ屋の手前に本屋さんがあって、そこで一旦降ろしてもらう。
千円くらいもらって漫画本買いに。
俺を降ろした父さんはパチンコへ。
父さんを見送った俺は本を吟味に。
散々悩んだ挙句しょうもない漫画本を買ったり。
買ったその足で父さんが頑張っているパチンコへ。
十歳にも満たない少年がのそのそとパチンコ屋へ入る光景は異様やったと思う…。
昔は(ていっても十数年前)今と違って、打たんでも隣の席に付いてもよかったし、父さんの玉もらって玉飛ばしたりもしてた。
その店が廃れてたのもあるかもしれん…。
玉飛ばしては、買ってきた漫画本を読んだり、父さんの台を眺めてたり。
俺が金魚の糞と化したのには、漫画以外にもう一つ理由があった。
それは景品にあったゲーム(ファミコン)。
小学生くらいの俺にとって、あのショーケースの中はヨダレもんやった。
読書(漫画)に飽きたらショーケースまで走って、どれが欲しいか悩んで、父さんに「これ!!」って言ってみる。
したら、父さんは一生懸命玉飛ばしてくれる。
今みたいにパチンコの玉を入れる箱はでっかくなくて、何か、ちょうどカステラ入ってる箱くらいのでかさやったなぁ。
あれいっぱいに玉を入れたら、ちょうどゲーム一本と交換できる。
仮に父さんが大当たりしたとして、何箱か積んだとしても、俺が一箱だけ保管しとく。
ただゲーム欲しいがために。
例え赤字になってもゲームだけは交換してくれよった。
父さんの財布の中身がすっからかんになっても、俺だけはゲームと漫画本が自動的に毎回ゲットできる仕組み。
俺の年齢がまだ一桁くらいの頃のお話し。