むかーしむかし…ばい。

窓を開けると一面の銀世界!!
少年はめったに見れない雪に興奮し、ランドセルをしょって玄関を飛び出ました。
途中、車のフロントガラスの雪を集め小さな雪だるまを作ったり、スキー板なしのスキーをしてみたり…。
少年にとって、毎日歩きなれた通学路は一夜のうちに別世界になったのです。
そこで少年は一台の動かなくなった車を発見しました。
運転手のおじさんが必死に押して動かそうとしています。
5年生のお兄さん達も手伝って押しています。
少年は何を思ったか、一緒に手伝う事を決意しました。
何度か押すうちに、車が雪を掻き分けながら発進。
その拍子に少年は転び、車に足を轢かれてしまいました。
少年は泣き、たまたま近くを通った姉が急いで両親に電話します。
まだ少年は泣き叫んでいます。
数十分後に両親が駆けつけ、お母さんにおんぶされ病院へ。
途中、お母さんの背中で少年は「死ぬのかなぁ」とか聞いたりしています。
その度にお母さんは「大丈夫。大丈夫。」となだめます。
雪の滑りやすい道を走りながら必死に病院へ向かうお母さん。
その時の母親の背中はベッドの様に大きかったし、羊水の中の様に安心できたと少年が思うのは後のお話し。
病院に到着すると、足は骨折もしていなければヒビも入っていない、キレイな骨そのものであるとお医者さんのお墨付き。
でも念のためにということでギブスを巻いてもらいました。
のん気な少年は巻いてもらったギブスを見て、ちょっと自慢になったり、おかげで学校を休めたことに心を躍らせています。
家に到着した少年は真っ白になった庭と、真っ白になった足を交互に見比べながら、銀世界を独り占めにした気分になりましたとさ。