one more obaatyan bai

ポケットに帽子入れながら登校しよって、気付いたらない。
しょうがなくUターンして、足元きょろきょろしながら探しよった。
こんな場所にあるはずもないのにーとはよく言ったもんで、田んぼの中、排水溝の上、駐車場を見てまわる。
したら100m先あたりに黒い帽子を発見。
あったあったと思って近づこうとしたら、お婆さんがてくてく帽子に接近中。
ヒョイって拾って歩き出したけん、それは俺の帽子や!って追いかけようとしたら、ポイって木に放り投げた。
あ…車とか人とかに轢かれんように除けてくれたとか。
お婆さんの先には何人か帽子を通り過ぎた人がおったけど、横目で見る程度。
多分俺もそうすると思う。
この前自分家出た瞬間に、目の前を通りかかった自転車のおっさんが転んだ。
電車の中でハンカチ落としたおばさんがおった。
お婆さんを追いかけてお礼を言おうとしたけど、ナゼか止まってしまった。
一瞬体が動こうとするけど、急ブレーキがかかってしまう。
んでその後は妙な罪悪感がじわじわ出てくる。
ロー、セカンド…トップって車が発進していくのと同じように、出だしが一番力がいるとやなぁ。って改めて実感。
それさえ力加えればあとはスイスイ前へ進むはず。
お婆さんはローすら感じさせない、軽やかなシフトチェンジをやって見せた。
彼女をF1ドライバーとするならば、俺は初心者ドライバー。
まぁこれは極端けども、お婆さんの行為一つで朝っぱらから考えさせてもらいました。
あんがとない。